徹底検証!キャンプのバーナーはガスかアルコールか?SOTOレギュレーターストーブST310とエバニューチタニウムアルコールストーブで比較してみた
キャンプツーリングに使う調理器具として、まず候補に挙がってくるのが “コンパクトなバーナー類” でしょう。
キャンプはキャンプでも、私のようなバイクキャンパーは特に荷物の軽量化が大切になります。
バイクはバランスで乗るものですが、荷物が重くなればなるほど重心が変わり、重心が変わるとそれだけでバランス(=運転のしやすさ)にも影響を及ぼしてしまうので、荷物の軽量化は「バイクを乗る喜びの質」にもかかわってくるのです。
そういった点を考慮すると、バーナーはおのずと「ガスバーナー」か、あるいは「アルコールストーブ」の二択になってくると思います。
そこで今回は私が愛用しているガスバーナーとアルコールストーブを徹底的に比較し、キャンプツーリングで最適なバーナーはガスか?アルコールか?を解明していきたいと思います!
ガスバーナー代表:SOTOレギュレーターストーブST310を選んだ理由
私は数あるバーナーの中でも、こちらのバーナーを好んで利用しています。
SOTOの「レギュレーターストーブST310」です。
もちろん、これまでもいろいろなバーナーを使ってきましたが、最終的にはガスバーナーはこれに落ち着きました。
理由はいくつかありますが、一番の理由は燃料入手が容易であることです。
ガス缶には大きく分けてCB缶(CB=カセットボンベ缶の略)とOD缶(OD=アウトドア缶の略)があり、一部のバーナーを除けば、ガスバーナーはCB缶、OD缶のどちらかしか使えない設計になっています。
CB缶は、カセットコンロなどでも使う、いわゆる “カセットボンベの缶” なので、コンビニでも売っていて入手が非常に容易です。しかもどのメーカーのCB缶も成分が似たり寄ったりなので、どのメーカーのものを使っても大丈夫です。ただ、その代わりデカいです。
対してOD缶はキャンプ用品の充実したホームセンターやキャンプ用品店で買うことができます。こちらはとても小さく、丸い形状をしているので(丸い)クッカーの中に仕込んで収納するという芸当ができたりします。
しかし、OD缶はメーカーによって微妙にガスの配合が違うため、基本的には各バーナーが推奨するメーカーのOD缶の使用が推奨されています。
推奨メーカー以外のOD缶でも使えないことはないのですが、性能が落ちてしまうことが間々あります。
私が愛用しているSOTOの「レギュレーターストーブST310」はCB缶を使用します。
燃料を持参すれば確かに荷物の容量は大きくなりますが、コンビニでも買えるCB缶なら「燃料は持参せずに現地調達」という荒業が可能です。現地調達に勝る荷物の軽量化はありません。
対してOD缶は入手性が容易とは言えません。おまけに先ほど説明したようにOD缶を売っている店があったとしても、推奨メーカーのOD缶があるとは限りません。
私はキャンプギアを選ぶ際「いつ、どんな状況でも安定した性能で使える」ことを重視しています。
そういった点で、どこでも入手できて、メーカーを問わないCB缶を使用する「SOTOレギュレーターストーブST310」は非常に優れています。
だからこそ私は、最終的にガスバーナーでは「SOTOレギュレーターストーブST310」を選択したわけです。
アルコールストーブ代表:エバニューチタニウムアルコールストーブを選んだ理由
アルコールストーブの燃料は基本的にアルコールです。
理想は燃料用アルコールですが、無水エタノールであっても使用に問題ないことは確認しています。
燃料用アルコールも無水エタノールもさすがにコンビニには売っていませんか、薬局であればだいたい日本全国どこでも入手できます。
アルコールバーナーは本当に多種多様の商品があります。消化蓋や火力調整蓋のついたもの、より軽量化されたもの、より安価なもの、本当にいろいろです。
しかし私はその中でも「エバニューチタニウムアルコールストーブ」を選びました。
私がアルコールストーブに求める性能は「構造が単純であることによる堅牢さ」です。
キャンプギアというものは少々雑に扱われるのが普通です。そのため多少乱暴に扱っても、壊れない堅牢さが重要になってきます。
堅牢さを担保するための方向性として2つの方向性が挙げられます。
1つは変質しにくい材質…たとえばチタンやステンレスなどの変形しにくい金属で仕上げることです。
キャンプギアのメーカーとして有名な「スノーピーク」の商品にこの方向性のものが多いです。スノーピークの看板商品である「焚火台」は最たるものですね。あれは一枚の分厚い鉄板を使うことによって堅牢さを確保しています。
もう1つは構造をより単純化してしまうことです。
基本的にギミックがたくさんある複雑な構造ものは壊れやすいです。単純であればそもそも壊れるパーツが少なく済みますし、多少変形してしまったところで使用に問題がないことが多いです。
そして何と「エバニューチタニウムアルコールストーブ」は上記の方向性を2つとも満たします。
このアルコールストーブはチタンという変質しにくい金属でできています。さらに火力調整蓋などのギミックもなく、構造はいたってシンプル!ただの穴の開いた金属の塊でしかありません。
火力調整蓋は最悪その辺の平たく薄い石で代用できます。大事なことは、道具そのものが壊れないことです。
そういった点を考慮すると、この丈夫でシンプル極まりないエバニューのチタニウムアルコールストーブは、私にとって「最高の条件を満たしたアルコールストーブ」と言えます。
ガスバーナー代表「SOTOレギュレーターストーブST310」とアルコールバーナー代表「エバニューチタニウムアルコールストーブ」を比較してみた
性能比較①燃料の入手の容易さ
エバニューチタニウムアルコールストーブの燃料は燃料用アルコールです。
一部「燃料用アルコール使用のみ」と「燃料用アルコールと無水エタノール使用可」くらいの違いはありますが、基本的にアルコールストーブの燃料はどれもアルコールで、ほとんどのドラッグストアで売っています。
対してSOTOレギュレーターストーブST310の燃料のCB缶です。
CB缶はコンビニやスーパー、ホームセンター、個人商店など色々なところで売っています。ちょっと品揃えの良い売店併設のキャンプ場なら、キャンプ場でも売っています。
燃料用アルコールとCB缶、どちらが燃料が入手が容易かといえば当然CB缶です。
ということで、燃料の入手のしやすさという点では「SOTOレギュレーターストーブST310」に軍配が上がります。
どんな田舎であっても、バイクで行ける範囲にコンビニも個人商店もないところはそうそうありませんが、アルコールは、田舎の薬局だと、消毒液アルコールは置いてあっても燃料用アルコールがないことはままあります。
ちなみにですが、ウイスキーや焼酎を入れてもアルコールストーブは燃えませんのでご注意を!たとえ火がついたとしても温度の低い真っ赤な炎がでるだけで実用性がほぼありません。
性能比較②どちらが早く湯が沸くか⁉
次にガスバーナー代表「SOTOレギュレーターストーブST310」とアルコールバーナー代表「エバニューチタニウムアルコールストーブ」では、どちらがお湯を早く沸かすことができるかを実験してみました。
実際に部屋の中で500mlのお湯を沸かしてみました。
結果、ガスバーナーのSOTOレギュレーターストーブST310が3分47秒、アルコールストーブのエバニューチタニウムアルコールストーブが6分21秒という結果が出ました。
しかし、これだけで単純に比較はできません。
部屋の中は基本的に無風で、お湯を沸かすには理想の環境です。しかし、用途がキャンプツーリングとなると想定される使用環境は無風ではありません。海沿いのキャンプ場なら容赦のない潮風が吹き付けることでしょう。
そこで、コレ、百均で買った扇子で外の環境で起こる風を再現してみます。普段は焚火での送風に使っています。
まずはガスバーナーのSOTOレギュレーターストーブST310で500mlの水を沸かしながら、扇子で風を送り続けます。
沸きました!!6分06秒です。無風時の倍くらい時間がかかりましたね…
では次にアルコールストーブのエバニューチタニウムアルコールストーブで同じように500mlの水を沸かしながら、扇子で風を送り続けます。
あら!?10分07秒で火が消えました…どうやら燃料切れのようです。
とりあえず湯気は出ているものの、10分経過しても沸騰はしませんでした。
無風時、風のある状況下、どちらの環境においてもガスバーナーのSOTOレギュレーターストーブST310に軍配が上がりました。
しかし、いずれにせよどちらも屋外で風を受けると性能が大きく落ちるので、風よけの道具は必須ですね。
性能比較③重量
では、次に「SOTOレギュレーターストーブST310」の「エバニューチタニウムアルコールストーブ」の重量を比較してみます。
今回は “実際にキャンプツーリングで使用するにあたって必要と思われるもの” の重さも含めて比較してみます。
ガスバーナーのSOTOレギュレーターストーブST310です。風で性能が落ちるためウインドスクリーンを用意し、一緒に重量を計測しました。
[結果] SOTOレギュレーターストーブST310+ウインドスクリーンで570gでした。
次にアルコールストーブのエバニューチタニウムアルコールストーブです。
エバニューチタニウムアルコールストーブはそれ単体ではクッカーが乗せられないので、五徳を使用します。また、こちらも風で大きく性能が落ちるのでウインドスクリーンも一緒に重量を計測しました。
[結果]エバニューチタニウムアルコールストーブ+五徳+ウインドスクリーンで248gでした。
こうして比較してみるとわかる通り、アルコールストーブのエバニューチタニウムアルコールストーブは半分以下の重量で済みます。
また、アルコールストーブはその形状からマグカップやクッカー等の中に収納してしまいやすいため、より効率よくコンパクトにパッキングすることができる利点もあります。
アルコールストーブvsガスバーナーどちらがキャンプツーリングに向いているのか
私的ガスバーナー代表の「SOTOレギュレーターストーブST310」と、私的アルコールストーブ代表の「エバニューチタニウムアルコールストーブ」、どちらがキャンプツーリングに向いているか?
今回の検証では、軽量さとパッキングの容易さはアルコールストーブ代表のエバニューチタニウムアルコールストーブが勝りますが、その他の点においては明らかにガスバーナー代表のSOTOレギュレーターストーブST310が上回っていると言えるでしょう。
特に調理器具としての性能なら、間違いなくガスバーナー代表の「SOTOレギュレーターストーブST310」が勝っています。
しかし、アルコールストーブ代表の「エバニューチタニウムアルコールストーブ」がキャンプツーリングに不向きかといえばそうでもないと私は思っています。
なぜなら、キャンプというものは “時に不便を楽しむもの” だからです。ただ便利さや効率を求めるのであれば、キャンプなんていうものはそもそも不合理の極みです。
たとえば私は今年の年末年始に沖縄でバイクキャンプをする予定なのですが、調べたところによると沖縄には格安で泊まれるキャンプ場がほとんどなく基本2000円以上からでした。
格安なキャンプ場が奥地にあったとしても、買い出しなどのガソリン代、シャワー代、どこかでスマホの充電をしなければいけない、などを考慮すると、どう試算しても1000円ちょっとで泊まれるゲストハウスにはかないませんでした。
しかし、そこまでしても「キャンプがしたい」と考えてバイクにまたがってしまうのはなぜか?それは、旅の過程を楽しことができるのもキャンプの魅力だと思うからです。
アルコールストーブのゆらめく炎…
手のひらに収まるサイズのものが立派に機能する驚き…
クッカーが温まるのを待つ時間…
「アルコールストーブでお湯を沸かす」という行為は、まさしく過程を楽しむキャンプであると言えると思います。
ガスバーナーで効率を重視し、より旅先で楽しむスタイルも「キャンプ」です。
アルコールストーブで湯を沸くのを待ちながら、よりゆったりとした時間を過ごすスタイルもまた「キャンプ」です。
結局は自分がどちらのスタイルを重視したいか?によって選択は変わります。
そしてもちろん、両方持っていればキャンプの幅がより広がるのも間違いありません。
-
前の記事
徹底検証!キャンプの焚き火の薪に適した木の種類【針葉樹&広葉樹実験】 2018.11.25
-
次の記事
メスティンとは?女性バイクソロキャンパーが最強のクッカーを徹底解説! 2018.11.26