スピードクライミングとは?ボルダリングとの違いと今日本で一番強い選手を紹介
東京2020オリンピックから正式種目に採用された「スポーツクライミング」。
このスポーツクライミングは「スピードクライミング」「ボルダリング」「リードクライミング」の3種目が行われ、その総合ポイントで順位を競います。
今回はこのうち、一番最初に行われる種目「スピードクライミング」をご紹介します。
決められたコースでスピードを競う「スピードクライミング」
スピードクライミングは、読んで字のごとく「速さ」を競う競技です。
高さ15mもある壁を、まるで特撮映画のように跳んで登る姿は正に圧巻です。
スピードクライミングが、ほかの2種目(ボルダリング&リードクライミング)と決定的に違うのは、スピードクライミングに限りコースが世界共通で、壁の高さからホールド(持つところ)の位置まで決められていて、どの大会も同じコースで競技が行われるという点です。
ですからこの競技は筋力や瞬発力などのフィジカル面が強い選手が圧倒的に有利になります。
たとえば、女子トップクライマーの野口啓代選手は、高いクライミング技術と、オブザベーション能力(どう攻略すれば完登できるかを分析する力)で、ボルダリングでは世界のトップ中のトップです。
ですが、フィジカル面では他の世界のトップ選手と比べてやや不利なために、このスピードクライミングを苦手にしています。(ただし野口啓代選手は東京2020オリンピックに向けて、実家の牧場にプライベートのスピードクライミングウォールを作って練習するそうなのでオリンピックは期待できます!ていうか実家スゴイ!)
なお、スピードクライミングは、3種目の中で一番最初に行われます。これは、この種目が速さ競う競技のため疲労が少ない前半に行う必要があるからです。
15mの壁を跳ぶように登る選手を是非一度ご覧ください。マジで人間技とは思えません…
女子は野中生萌選手、男子は楢崎智亜選手が日本記録保持者(2018年11月現在)
現在のスピードクライミングの日本記録は、女子は野中生萌選手の8秒57、男子は楢崎智亜選手の6秒69です(2018年11月現在)。
野中選手は2018年のアジア選手権のスピードクライミング競技でも8秒57という日本記録のアジアNo1に輝いています。
野中選手はつい1年程前までは「日本で初めて10秒台を切った!」と話題になったのですが、わずか1年で10秒を切るどころか8秒台半ばまで記録を伸ばしています。スゴイですね。
伊藤ふたば選手も9秒台突入
スピードクライミングは10秒を切るというのが日本女子選手の壁でした。
事実、あの野口啓代選手でさえ、まだ10秒を切れていません。
スポーツクライミングはスピードクライミング、ボルダリング、リードクライミングの3種目の合計で順位が決まるので、スピードクライミングで出遅れても、あとの2種目で挽回することは可能です。
しかしオリンピックでメダルを狙うなら、スピードクライミングでも上位に喰い込む必要があるのは言うまでもありません。
そんな中、野中生萌選手に続き、コンスタントに10秒を大幅に切る選手が現れました。
あの伊藤ふたば選手です。
伊藤ふたば選手は先日のアジア選手権2018でも9秒台を連発し、3位決定戦では野口啓代選手を下してスピード種目3位を獲得しています。
ほんの1年前までは、日本女子選手は誰も10秒台を切れていなかったことと、伊藤ふたば選手がまだ高校生だということを考えれば、東京2020オリンピックの頃には、きっと8秒台をコンスタントに出す選手になっていることでしょう。
まとめ
発想力、技術、筋力で淡々と壁を登るボルダリングも見ていて楽しいですが、人間離れしたフィジカルでまるで特撮映画のように壁を駆け上がっていくスピードクライミングも見ていて非常に興奮します。
YouTubeなどでもスピードクライミングの動画はたくさんアップされているので是非一度チェックしてみてください。
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