スノーシューで藻琴山を冬登山!登山口へのアクセスから装備の注意点まで
世界遺産・知床を擁し、手付かずの大自然から美しい田園風景まで眺望を満喫できる北海道道東地方の山々。
海には流氷が到来し、深く積もる雪で山道は閉ざされますが、スノーシューを使い少し苦労して登山すると、これぞ北海道と言える雄大な美しい眺望を臨むことができます。
今回は空港からのアクセスが最短でわずか50分の藻琴山。思い立ったら即行動。そんな方へのお助け情報をご紹介いたします。
藻琴山までのアクセス方法
まずは藻琴山にもっとも近い女満別空港。
女満別空港から藻琴山の登山口であるレストハウス「ハイランド小清水725」(冬季閉店中)直下の国道脇までは車で約50分。
登山口までの道筋は、徐々に高原へと上がっていく車道からの景色も開けていき、登山への期待がより一層高まります!
中標津空港からも比較的容易にアクセスすることができます。
こちらは中標津空港から登山口まで1時間30分ほどかかりますが、大規模な酪農地帯や草津温泉と同じ泉質を持つとされる名温泉地「川湯温泉」を通過するため、北海道らしい景色を楽しみながら山へ向かうことができます。
中標津空港からの道筋は、女満別空港からより比較的自動販売機があるところが多く、水分確保はしやすくなっています。
反面、市街地以外コンビニエンスストアがないため、水分も含め補給食の確保は早め早めに行うようにしてください。
また、釧路空港からも藻琴山へのアクセスは可能です。
釧路空港から登山口までは約2時間かかりますが、こちらには2018年8月からピーチアビエーションによる大阪直通便が就航したため、大手航空便よりも安価で利用することがことがでるようになり、関西方面の方は以前より道東地方へアクセスしやすくなっています。
ただし、いずれの空港からも、アクセスしやすいとは言ったものの、空港から山への道は直通の公共機関がありません。
そのため空港からレンタカーを利用するのが一番手軽に藻琴山へ向かう手段となります。
装備の注意(冬山のため超重要!)
スノーシュー、ストックでの山行になるので軽登山的な要素は強いですが、冬山であることには違いありません。
朝に冷え込むとマイナス20度は軽く到達してしまうため、それなりの装備が必要になります。
服装など一般的な冬山装備で望みますが、ザックの携行装備のとして「これは準備したほうが良い」という一例をあげると、まずは寒さ対策のためのダウンジャケット、パンツ。
休憩時や頂上到着時にはすぐに冷え込むので特に上着はすぐに羽織ることができるよう準備しましょう。
また寒さに弱ければバラクラバを使用するのが良いと思います。
バラクラバは、あまり厚い生地だと行動中に発汗してしまい、休憩中などに逆に体が冷えることがあるので、モンベルで発売しているような薄手のものを使用するのがおすすめです。
厚さがちょうどよく、無駄に汗をかかないモンベルのバラクラバは冬山に最適です。
次に冷えた体を温める補給食をとるためガスバーナー。
これは万が一のときに雪から水を作ったりもできるので、護身用の装備ともいえます。
ただしバーナーのカートリッジは低気温用のものでないと冬山では使えません。
私は「IP-110(プリムス社)」というカートリッジ(OD缶)を使っていますが、このカートリッジはオールシーズン使用可能で、冬でも安定して炎が付くので低気温時でも安心して携行できます。
ただし、寒すぎて、わざわざバーナーを操作するのが億劫になることもあるので、お湯を保温ができる魔法瓶を携行することはしていきたいところです。
魔法瓶のお湯があれば、わざわざバーナーを出さなくても、フリーズドライなどお湯で戻す食料やインスタントコーヒーなどの飲料も容易に準備することができます。
私は「真空断熱ケータイマグ0.5(サーモス社)」を愛用しています。
私もそんなに多くの魔法瓶を使ったことがあるわけではありませんが、サーモス社の「真空断熱ケータイマグ0.5」、冬山でも保温力が抜群でオススメできると思います。
なお、冷水を持っていく方は注意ですが、プラスチックの容器やトレイルランで使用するような、フラスク、ハイドレーションパックを使用すると冷え込みのため凍結してしまうことがあり、使用できなくなることがあるので、私個人的にはおすすめはしません。
どうしても使用するというのであれば保温カバーの使用や容器の耐熱温度の範囲内でお湯を入れていくなど工夫が必要になります。
そしてこちらも護身用になりますが、ツェルト、シュラフも携行していきましょう。
私の場合、ツェルトは「スーパーライトツェルト2ロング(アライテント)」。
シュラフは「オクトスオリジナルUDD BAG 280DX(ナンガ社)」
を使用しています。
藻琴山は冬山としては比較的容易な山行ではありまがすが、あくまでも山は山!
天気の急変やアクシデントが発生する可能性があるので、携行しやすい軽量で簡易的なものでも良いので携行をおすすめします。
ザックの大きさは、携行道具の収納性にもよりますが上記装備に加え、着替え・補給食を含めると25リッター程度のものから収まる程度で山行に望めます。
スノーシューを履いて藻琴山登山開始!
装備と準備が整ったらいよいよ登山開始です。夏山の登山口であるレストハウス「ハイランド小清水725」は冬季閉店で除雪がされていないため駐車場はなく、直下の国道脇に駐車します。
ここから約1時間、屈斜路湖半に接する稜線を目指して登っていきます。
終始登りで、傾斜もそこまできつくはないので、スノーシューにヒールリフト機能がついていれば容易に歩行することができます。
※スノーシューはヒールリフト機能が付いていることが条件
私のおすすめのスノーシューはMSR社の「EVOアッセント」です。
もちろんヒールリフト機能もついています。
雪がしっかり積もっていれば基本的にどこでも歩ける状態なので、もし直登にキツさを感じるのであれば斜めに折り返しながら高度を上げていきます。
滑落するようなことは少ない斜面ですが、道をはずして沢筋に入り込まないよう注意しましょう。
稜線まで出ると眼下には屈斜路湖が広がり、天候条件がそろうと湖畔全面に雲海が覆い尽くし、素晴らしい景色を望むことができます。
以降は夏山の登山道を行くことになり、下る場面があって登り返しもありますので、ヒールリフト機能は随時使用するようになります。
途中、屏風岩と呼ばれる大岩の地帯は道幅が狭く、急勾配になるので慎重な歩行を要するほか、稜線上の湖畔側は潅木が生えているものの切れ落ちた地形なので滑落しないよう注意が必要です。
屏風岩の地帯を超えて歩みを進めていくと大きな広場に下り、目の前に見えるひとやまを夏山の登山道を利用して巻きながら登ると標高1,000メートルジャストの山頂に到着します。
東には百名山羅臼岳を抱える世界遺産・知床、同じく百名山斜里岳。西には百名山雌阿寒岳。
南には屈斜路湖ほか広大な平野が広がる釧路地方。
北にはオホーツク海に接岸する流氷と真っ白の田園風景。
まさに北海道の広大で雄大な眺望を360度楽しむことができます。
時間にして約3時間!苦労した以上の光景が広がり、疲れが吹き飛ぶ思いを実感できます!!
ただし見とれる前に防寒するよう携行した保温着をするようお忘れなく。
その他注意点とまとめ
今回は比較的容易なスノーシューでの山行をオススメしましたが、毎年積雪状況が違い、場合によってはササやハイマツが出てしまい歩きづらいシーズンもあります。
最高の山行となるよう、登山の前には、積雪状態など近隣地域の観光センター(小清水町観光協会、弟子屈町川湯エコミュージアムセンター)に問い合わせて状況を確認し、天候のチェックをしてから向かいましょう。
また、雪崩などに合う危険性が少ない低い場所を登りはしますが、沢筋に迷い込むと雪崩に見舞われる可能性もあります。
先に書いたとおり冬山は雪がしっかり積もると、良くも悪くも、どこでも歩行することができてしまうため、方向をつかむのが苦手な方はGPSやビーコンを装備して万全の準備を整えることも必要となります。
アクシデントに対する対応のため、当然ですが登山届の提出は必ず行うようにして、悪天時には登らない、もしくは早々に撤退するなど無理のない範囲で山行に望みましょう!
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